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【場所】下関市延行
【面積】約800坪
【作目】シクラメン、ぺラルゴニウム
【年間出荷量】シクラメン15,000鉢、ぺラルゴニウム20,000〜30,000鉢
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新下関駅から車で数分、下関北運動公園のそばで鉢花を専門に育てている日渉園(にっしょうえん)を訪れると、出荷のピークを迎えたシクラメンが色鮮やかに咲き誇っていました。はにかみ笑顔で温かく迎えてくださったのは、3代目の村岡義則さん。生まれたときから花と一緒、栽培に悩みはつきないけれど苦にはならないという、根っからの花好き職人です。 |
●種から球根ができる不思議
「おもしろいよ」とまず案内されたのは育苗ハウス。何とシクラメンは球根ではなく、種から育てられていました。11月に種をまき、約1カ月で発芽するのですが、そのメカニズムが不思議。種から芽のようなものが弓状に出てまた土にもぐり、そこに球根ができて種側を持ち上げ、そのはずみで種の皮が落ちて一枚目の葉が出るのだそう。種と球根、どっちが親か子か、ちょっと複雑ですが、確かにおもしろい! これぞ自然の神秘ですね。
●無事に芽が出ても気が気じゃない
芽が出た後は、気候や天候に合わせて光や温度を調整しつつ、大事に苗を育てます。シクラメンは冬場に強い植物ですが、昼間の強すぎる日光や夜の急激な冷え込みは大敵。ハウスの二重カーテンで太陽光を調整したり、夜は暖房をたいて温度調節をしたりと、なかなか手がかかります。「無事に芽が出るか、順調に育ってくれるか、いつも心配。他の花も育てるけど、シクラメンはどうも特別扱いしてしまう」と村岡さん。 |
●花の良し悪しが決まる“葉組み(はぐみ)”
そして夏も終わりに近づくと、シクラメン栽培には欠かせない大事な作業“葉組み”がはじまります。四方八方に広がるシクラメンの葉を外側に集めて中心を空ける作業で、この葉組みによって真ん中に花を集め、美しい形をつくります。毎年この時期になると、村岡さんの悩みはピークに達します。人の手が直接シクラメンに触れる葉組みは、花の良し悪しを左右するデリケートな作業なのです。「苦手な暑さに耐えてストレスをかかえているところに、人の手が加わるわけです。無理やりなことをすると花が機嫌を損ねてうまく育たなくなってしまう。自分だって、シクラメンの身になったら辛いですもんね。だからとても気を遣うんです」 |
●思いやりが良い花を育てる
村岡さんとの会話には、納得させられることがたくさん。例えば「水が足りなくてしおれてしまったシクラメンに水をやると復活するんですが、古い葉は黄色くなって枯れ、若い葉は枯れずに育つんです。年老いた葉が犠牲になって若い葉に養分を渡すんですよ。人間と同じですね」という話など。人や自然に置き換えながら、常に花の思いや状態を察します。こうして花の立場に立って考える姿勢が、丈夫で立派なシクラメンを育てる秘訣なんですね。
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●シクラメンは最高のパートナー
11月、いよいよ苦労を重ねて育てたシクラメンの出荷シーズン、そして、来年に向けてまた新たな挑戦が始まる時期を迎えます。理想のシクラメンは、まだ作れていないという村岡さん。寝ても覚めても、シクラメンのことで頭がいっぱいとか。「理想的なシクラメンを生産されている人もいますが、人に聞いて真似するのは苦手。不器用かもしれないけれど、自分の経験と努力で夢を叶えたいんです。人間、やってできないことはないと信じてますから(笑)」
本当に、シクラメンを育てることが楽しくて仕方ない様子。子どものころから考えることが好きという村岡さんにとって、たくさんの課題を与えてくれるシクラメンは最高のパートナーです。村岡さんの理想のシクラメンに出会える日が、何とも待ち遠しいですね。 |