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やまぐち花産地
 豊かな自然にはぐくまれた山口の花の産地と花職人をご紹介します。


地図

【場所】下関市豊北町田耕
【面積】約70アール
【作目】小菊、スプレー菊
【年間出荷量】約12万本

 今回は江戸期の女流文人・田上菊舎たがみきくしゃの故郷で知られる豊北町田耕に足を運び、温暖な平地の気候を生かして菊の露地栽培に取り組む、斉藤義明さんにお話をうかがいました。
 ●ハウスもあるけど、露地がいい
 ハウス栽培が主流の中、あえて露地栽培にこだわる斉藤さん。日照量が多く温暖な土地の恵みをそのままに、元気の良い菊を育てています。「雨風に当たらないハウスものは柔らかい感じに育つので、結構その方が好まれるんですよ。でも、ちょっとごつい雰囲気になっても、私はやっぱり露地ものの方が好き」。一時期「露地栽培は古い」といわれた時代がありハウス栽培にも挑戦しましたが、結局露地栽培をやめることはできませんでした。当時建てたハウスは挿し芽育苗に活用しています。

 ●循環する農業を楽しみながら
 それにしても、市場のニーズはどちらかというとハウスものの様子。売ることだけを考えれば、そこまで露地ものにこだわらなくても・・・と、つい思ってしまうのですが。実は、ここに斉藤さんならではの考えがありました。日本人の知恵ともいうべき、土地の循環です。
 「出荷作業の時に出る葉や茎などのクズは田畑に撒いて土に戻すんです。それから、出荷を終えた株のうねはそのまま畑に残して、翌年は水田や野菜畑にします。菊栽培には肥料を大量に使うので、クズや株に残った栄養分で、米や野菜がよく育つんですよ。土にもいいし、無駄なく再利用できるんです。」と、菊畑を歩きながら教えてくれました。花のそばですくすくと成長している大根の葉っぱを見つけ、その理由に納得!

 ●生まれ育った地で父と二人三脚
 そんな斉藤さんが菊の栽培を始めたのは8年前のこと。農業大学校を卒業後県内の鉄鋼会社に勤務しましたが、父の跡を継ごうと心に決め、故郷へ戻りました。菊農家の2代目。米の減反政策で転作を迫られた農地を何とか生かしたいと、郷里にUターンしたお父様が1代で築いた家業。その背を見て育った斉藤さんもまた、この土地を愛していました。現在はお父様が輪菊、斉藤さんが小菊・スプレー菊と、それぞれに担当を分けて菊栽培に取り組んでいます。
 ●笑顔に出会えば苦労は消える
 
小菊は赤・白・黄の3色をそろえてセットで出荷するため、時期をずらしながら多品種を栽培しなければなりません。当然、種類によって管理が異なるので、決まった休みはないといいます。また、菊は虫がつきやすく、まめな防除が必要になります。「マスクや手袋を装着し、仮面ライダーになったつもりで防除作業に出ます(笑)」と斉藤さん。生きたものを商品として立派に育てるとなると、やはり苦労は多いものです。でも、花を手にした人が喜んでくれれば、また明日への活力が湧いてくる。消費者の笑顔を見た瞬間に、それまでの苦労は吹き飛んでしまうのだそうです。

 ●心はいつも未来に向って
 露地栽培の菊の出荷は12月で終わり。暖かい春が来るまでは、ほ場づくりや親株の育苗といった「仕込み」の仕事に入ります。これからの課題は、その間菊に代わって出荷ができる、冬場の作目を見つけること。花の周年出荷が当面の目標です。そして同時に、地元の豊かな土地を生かした「まちおこし」という、秘めた夢もあります。すべてが試行錯誤の日々ですが、斉藤さんの眼差しは常に未来へと向かっています。大地の栄養をたっぷりと吸収した、斉藤さんの小菊。生命力に満ちた花に、元気のお裾分けをいただきました。


山口県花き振興協議会 事務局
〒742-0033 山口県柳井市新庄500-1 山口県花き振興センター内
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